ビタミン剤に限定た、サプリメントの活用についてのお話になりますが、薬には病院で医師に処方してもらう医療用医薬品と、薬局で手軽に買える一般用医薬品(OTC)があります。ビタミンはそのどちらも使用されてきました。OTCはOverTheCounter(店頭)の頭文字です。
これまでビタミン剤を買えるのは薬局の店頭に限られてきましたが、医薬品販売の規制緩和で、医薬品的な効能、効果を表示しない限り、従来は「医薬品」の扱いだったビタミンを「食品」として販売できるようになったのです。
最も早く自由化されたのはビタミンCでグラム単位のCを摂取できるキャンディーやタブレットなどの食品が、コンビニエンスストアなど、どこの店頭でも見かけるようになりました。私たちは食品よりも医薬品をありがたる傾向があります。しかし、ビタミン含有量食品が店頭にふえているのはこうした規制緩和によるものであり、医薬品のビタミンC1gと食品のビタミンC1gの作用は全く同じであることを知っておいて下さい。
医薬品と混同しやすいあいまいな区分に「医薬部外品」があります。平たくいえば、医薬品が病気や諸症状の治療に用いられるのに対して、医薬部外品は予防的に用いられ、薬局以外でも買うことができます。
従来の医薬部外品には育毛剤や入浴剤などがありましたが、OCTのビタミン剤の一部がこの医薬部外品に移行することになり、混乱にさらに輪をかけた状況になりました。
医薬部外品に移行するのはビタミンC主薬製剤、ビタミンE主薬製剤、ビタミンE・C主薬製剤、それにドリンク剤です。要するに医薬品、医薬部外品、食品の3区分にそれぞれビタミンを摂取できるサプリメントが共存する形になるわけですが、成分、分量が同じなら、どの区分もビタミンとしての効能は、効果に違いはないと言うことになります。
参考にビタミンの化学名を一覧にまとめてみました。
ビタミン一覧
記 号 |
化 学 名 |
A |
レチノール |
B1 |
サイアミン |
B2 |
リボフラミン |
B3 |
ナイアシン |
B5 |
パントテン酸 |
B6 |
ピリドキシン |
B12 |
コバラミン |
M |
葉酸 |
H |
ビオチン |
C |
アスコルビン酸 |
D |
カルシフェノール |
E |
トコフェロール |
K |
フィロキノン |
P |
バイオフラボノイド |
U |
キャベジン |
かつては脚気が多発した我が国では、さまざまなビタミンB1誘導体が開発されてきたためビタミンB1の成分表示は多様です。一方、食品としてのサプリメントではこうした誘導体の違いにはふれずに「ビタミンB1」とだけ表示されています。
ビタミンのサプリメントは成分、分量をよく確かめて消費者が自分の目で選ばなければならない時代に入ったのです。これはビタミン以外にも共通して言えることだと思います。
ビタミン&ミネラルの摂取量の目安
注意!!!
厚生省の「日本人の栄養所要量」が5年ぶり改定されました。
1996年の制定から6度目の改定だそうです。
詳しくは第6次改定日本人の栄養所要量についてをご覧ください。
1999/9/28 |
ビタミンやミネラルを1日にどのくらい体内に取り入れなければならないか。日本では厚生省が決めている栄養「所要量」というものがあります。ほかに、「保健量」とか「薬理量」という区別もあります。また、米国の基準にRDAがあり、次にまとめてみました。
だたし、その所要量は個人差があり、適量はどの程度かは目安にすぎません。
あくまで参考程度にお考え下さい。
所要量
厚生省設置の栄養摂取基準で、「国民が健康な生活を営むために1日に摂取することが望ましい栄養摂取量」の目安。
保健量
主に米国の栄養療法家(分子矯正療法家も含む)によって唱えられているもので、「現在より積極的に良好な健康状態を維持するための量」をいう。
薬理量
これも主に米国の栄養療法家たちの提示しているもので、「病気や予防や治療を目的とした場合の摂取量」をいう。
RDA
U.S.Recommended Daily Allowance
の略でUS.RDAともいわれる。
米国の食品医薬局(FDA)が国民に推奨している「合衆国1日勧告量」をいう。
所要量、RDA、保健量の比較
栄養項目 |
単位 |
厚生省所要量
許容上限摂取量
男30歳〜49歳 |
US.RDA |
保健量 |
ビタミンA |
IU |
2000 |
5000 |
10000〜35000 |
ベータカロチン |
IU |
− |
− |
25000〜50000 |
ビタミンB1 |
mg |
1.1 |
1.5 |
5〜20 |
ビタミンB2 |
mg |
1.2 |
1.7 |
5〜20 |
ビタミンB3 |
mg |
16 |
20 |
30〜100 |
ビタミンB5 |
mg |
5 |
10 |
20〜100 |
ビタミンB6 |
mg |
1.6 |
2 |
10〜30 |
ビタミンB12 |
μg |
2.4 |
6 |
10〜100 |
ビタミンB15 |
mg |
− |
− |
10〜100 |
ビタミンB17 |
mg |
− |
− |
10〜100 |
葉酸 |
μg |
200 |
400 |
400〜1000 |
イノシトール |
mg |
− |
− |
500〜2000 |
コリン |
mg |
− |
− |
200〜1000 |
PABA |
mg |
− |
− |
10〜100 |
ビオチン |
μg |
30 |
300 |
500 |
ビタミンC |
mg |
100 |
60 |
500〜3000 |
ビタミンD |
IU |
100 |
400 |
100〜400 |
ビタミンE |
IU |
10 |
30 |
50〜800 |
ビタミンK |
μg |
65 |
− |
300〜500 |
ビタミンP |
mg |
− |
− |
200〜3000 |
カルシウム(Ca) |
mg |
600 |
1000 |
1500〜2000 |
マグネシウム(Mg) |
mg |
320 |
400 |
400〜800 |
カリウム(K) |
mg |
2000 |
1000 |
2500〜4000 |
セレニウム(Se) |
μg |
− |
150〜200 |
200〜600 |
亜鉛(Zn) |
mg |
12 |
15 |
20〜100 |
クロム(Cr) |
μg |
35 |
50〜200 |
200〜600 |
ヨード(I) |
mg |
− |
150 |
1500 |
鉄(Fe) |
mg |
10 |
18 |
10〜25 |
銅(Cu) |
mg |
9 |
2 |
2〜4 |
厚生省設置の栄養摂取基準の所要量は第6次改定によりビタミン、ミネラル類に初めて上限値(許容上限摂取量)を設けるなど内容が大きく改められました。
保健量と比較して基準が低いのは、旧来の古典栄養学の見解に立っていて、米国の分子矯正医学や新しい栄養療法家のような微量栄養素のもつ薬理効能と大量投与の発想まで研究および情報のレベルが達していないからともいわれています。
分子矯正医学の世界では、本当に健康増進に役立てるには「保健量」を日常摂取量の目安にすることが一般的のようです。
※上記一覧表の「厚生省所要量」は許容上限摂取量とし男性30歳〜49歳を
例に掲載しました。
詳しくは第6次改定日本人の栄養所要量についてをご覧ください。 1999/9/28
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