2000/11/01 |
平成一二年(ワ)第一一五七号 損害賠償請求事件 第一 平成一二年九月二一日付原告ら準備書面に対する被告の主張 一 原告らが「原価主義に関して」と述べるところについて 二 「被告の債務不履行ないしは不法行為の問題性」とあるところについて しかし、この記載は、住宅金融公庫の融資付分譲住宅のパンフレットにおいて一般的に用いられている表現であり、民間分譲住宅のパンフレット類にも記載されているものであるところ(乙二四、乙二五)、被告も右同様の表現をそのパンフレットに掲載しただけのことである。右の表現の存在という一事をもって価格の決定根拠を明らかにする必要があるとする原告らの右主張には理由がない。 三 「行政令令、法規命令の主張に関して」とあるところについて 原告らは、施行規則の法的性質に関する義論をことさらに回避しているというほかない。 第二 平成一二年九月二〇日付原告ら準備書面に対する被告の主張 一 被告分譲住宅の譲渡価格について 原告らは、同準備書面において、被告と原告らとの分譲住宅譲渡契約における譲渡価格を土地価格と建物価格とに分けて議論をしている。 しかし、右契約は、土地と建物を個別に売買することを目的とするものではなく、敷地権付建物というひとつのユニットを売買の目的とするものである。譲渡価格を土地価格と建物価格とに分ける意味は全く無い。また、その譲渡価格は、被告が原告らに住宅を譲渡した価格そのもの、すなわち、施行規則第六条第一項、第一一条に基づき被告が定めた価格である。右契約の契約書(乙二の二、乙三)にも、譲渡価格として当該住宅について被告が定めた金額が記されており、土地価格と建物価格とに分けた記載は無い。 二 被告の譲渡価格の決定について 原告らは、同準備書面5ないし8項で、原告らが購入した価格については、被告が市湯動向を無視して異常な価格設定行為を行ったと主張する。 しかし、この譲渡価格が原告らが主張する被告の異常な価格設定行為によるものであったならば、当時、原告らは被告と譲渡契約を締結しなければよかったはずである。原告らが、自由な意思により被告と譲渡契約を締結した以上、その譲渡価格が正に当時の適正価格であったのであり、遡って異常な価格設定行為によるものであったとされるいわれはない。これこそが、本件の本質なのである。 以上 |