この度の在庫一斉捨て値処分セールは、公社が住民への公約を無視して行う許されざる暴挙です。公社は自らの放漫経営がもたらしたつけを私たちに押しつけようとしているのです。私たちは、報道関係諸氏にこれだけの裏事情はお伝えしておく理由と義務があると考えております。
きっとこのセールが過去に社会問題化した住宅都市整備公団や他の住宅供給公社による値下げ販売とは一線を画するものだということがおわかりいただけるでしょう。
不当販売がはらむ主な問題点
(ご希望があれば、分析資料に基づいてさらに詳しい説明もできます。事務局までお問い合わせ下さい。)
二つの公約違反
1)
証拠物件を黙殺する不誠実な態度
平成6(1994)年3〜4月に募集された17期(4-32棟)は、発売当初はほぼ完売であったが、直後に起こった中古住宅の大幅な値下がりのためにキャンセルが相次いだ。その多くは、手持ち物件が見込んだ額で売却できず、購入をあきらめた人たちである。しかし、私たち購入者の多くも本契約ぎりぎりまで購入をためらっていた。それは、17期が「積立分譲」という特殊な販売形態であったため、入居まで1年5ヶ月もの猶予があり、情勢を冷静に分析することができたからである。
近隣の相場に詳しい、ある不動産会社のセールスマンは、すでに平成6(1994)年10月の段階で「この情勢で300戸もの物件があの高値で完売できるはずがない。」と断言していた。それだけに、17期購入予定者は18期以降(4ー30・31棟)の値下げの可能性を懸念し、担当者に何度も確認・念押
しをしている。その際、販売部は「30・31・32棟は同条件で販売する。17期購入者に不利が生じることはないので、安心して購入してほしい。(要は、18期以降の販売条件が変われば、17期購入
者に遡及措置を講じる)」ときっぱり答えていたのである。(もちろん18期(4ー30棟)購入者にも同様の約束をしている。)
その証拠は、17期(32棟)入居まぎわの平成7(1995)年6月6日付で公社が購入予定者に送付した『公社後払い制度採用のお知らせ』という通知文書に明記された以下の文言である。
「本来第17期及び第18期は同一の管理組合に属し、はたまた施工JV(鹿島・三井・三木共同企業体)も同じことであるから、予定価額を含めた18期の募集計画に於いては同程度の設定が必然であると考えます。」
これは危機感を強めた公社のキャンセル防止策に他ならない。購入をためらう私たちが割高を承知であえて購入したのは、この条件提示があったからなのである。黙殺は絶対許されない。
2)
公社の無責任体質をさらけ出した対応
平成10(1998)年12月に公社内部で値下げ販売を決定して以後、公社はS販売部長を通じ、「公団や他公社のような一方的な値下げ販売はしない。住民に一定の措置を講じる“神奈川方式”でいく。」と公言した。そして公社の方から住民側の窓口である「31棟対策小委員会」に具体的な提案を求めてきた。その言葉を信じ、我々も公社の性格や面目も考慮しながら、妥協点を模索してきたが、平成11(1999)年4月になると一方的に交渉を打ち切って強硬姿勢に転じた。後で判明したことだが、交渉の最中に、公社は県知事に販売申請し、認可を得ていたのである。
購入の際もしかり、今回もまたしかり。交渉の場に決定権のない部長しか寄こさず、無益な交渉で住民をもてあそび、最後は冷酷に突き放す。住民にこれだけの精神的苦痛を与えた公社の罪はきわめて大きい。何より部長を指揮していた担当理事W氏の責任は重大である。
この豹変ぶりは、公社側の深刻な台所事情から? との疑念すら湧いてくるではないか。
ずさんな放漫経営
3)
リスクに気づきながら建築計画の見直しをしない無責任さ
バブル崩壊後、右肩下がりで推移してきた中古住宅相場は、平成6年(1994)上期を境にさらに大きく暴落した。その頃、販売対象となる三棟は建築の初期段階であった。17期のキャンセルが見込まれたその時点で、公社は棟数・戸数等の建築計画または販売価格の見直しをするチャンスはあったはずである。前述の不動産会社セールスマンの言葉をとってみても、販売のプロが同様のリスクに気づいていなかったとは思えない。(6月12日の住民集会で、T販売担当部長も17期販売時に公社が割高感を持っていたことを認めている。)実際に購入をためらった者は、平成6(1994)年の段階で販売部へ価格見直しの可能性を電話で確認した。その際「現在、値下げの方向で考えている。詳細が決まり次第、お知らせする。」と担当者の一人が応対した一幕もある。しかし、いっこうに連絡はなく、再度問い合わせると、「誰がそんなことを言ったのか。」とお粗末な対応を重ねる始末。しかし、そんなときでも「値下げはしないが、何らかの対応をするときは、三棟同一条件で行うので心配しないでほしい。」と公言していたのである。これほど客を馬鹿にした対応があるだろうか。
これらは、神奈川県住宅供給公社がいかに「展望なき杜撰経営」を行っているかを如実に物語っている。S販売部長は31棟対策小委員会とのやりとりの中で「民間と比べ、公社は重戦車級なので、走り出すとなかなか止まれない」体質であると認めている。危機管理能力の欠落した公社暴走のなれの果て、それがこの不当販売なのである。
4)
公団・他公社と比較にならぬ暴挙
17期(32棟)に生じた38戸のキャンセルを放置したまま、18期(30・31棟)を販売するも、スケジュールはどんどん先送りにされた。30棟は二年間でわずか38戸/111しか売れず、31棟(83戸)は販
売凍結に。平成9(1997)年夏以降はほとんど何の販売努力もせぬまま放置していたのである。
売れ残り戸数の総戸数に占める割合はなんと63%超(3棟合計194戸/306)、値下げ幅に至っては44%超という前例のない数字である。公社が前例と見なしたい住宅都市整備公団・他の住宅供給公社の値下げ販売は、ほとんどが総戸数の数%程度の売れ残りで、値下げ幅も20%程度に過ぎず、その販売計画上の問題点は公社と比較にならない。
あの住都公団でさえ値下げ販売とともに新築分譲事業から撤退を表明した。しかし、公社は経営内容を改めるつもりはないと開き直っている。こんな暴挙がまかり通るのだろうか?
5)
市場価格を無視した安値販売
公社は大量の在庫(194戸/306)をすべて売り切るため、密室(業者名は明かせないと言う)の鑑定評価額を盾に市場価格以下の安値で販売しようとしている。私たちの資産価値は、二重の意味で暴落させられたのである。なぜ、公社のつけを私たちが払わねばならないのか?
私たち公社理事長に抗議書を送り、誠意ある回答と、今回のような一方的値下げ販売の撤回を強く求めましたが、その回答は居直りとしか思えぬ不誠実なものでした。
公社が再度話し合いのテーブルにつき、公約に基づいた措置を講じない限り、私たちは怒りを鎮めることはできません。抗議行動はその唯一の手段なのです。
「社会の公器」たる報道関係諸氏におかれましては、私心で動く組織体でありながら「公」を冠する傲慢な会社が、新たな被害者を量産することのないよう、その責任を追及していただければ幸いです。
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