スポーツコラム 【27話.スピード志向の小柄な選手 田中一徳】
プロ野球の横浜から1位指名を受けた田中一徳外野手(18=PL学園)が12日、契約交渉を行ない正式契約を結びました。セールスポイントは現役選手で最も低い身長165センチと、その小さな体が生み出す球界最速の50メートル5秒6の快速。小柄でも秘めた闘志は計り知れない。田中は胸を張って身長コンプレックスを笑い飛ばした。「ハンディとは思いません。ただ、大きい人には負けたくない。そういう意味ではプロでは全員が敵です」。その闘志だけではなく、小さな体に秘められた運動能力は抜群。スピードなら球界でも1、2を争うことは間違いないでしょう。
育英中2年のとき飛び入り参加した陸上競技の市民大会100メートルで11秒1で優勝し尼崎市中学記録を塗り替えたほど。父修さん(48)は駅伝をはじめとする陸上長距離界の名門・報徳学園で長距離選手、母昭子さんは短距離選手でともにインターハイに出場したアスリート一家。「決して走るのが好きなわけじゃない。遺伝だと思います」と、田中選手は「血統」に感謝した。
体脂肪は11%。165センチ、63キロの小兵サイズも、スピード志向の田中選手にとってみれば理想体型といえそうです。高卒ルーキーながら、守備と足だけなら即戦力の評価をもらっている。「すぐに1軍で通用する。彼が守りに入れば外野は2人でもいいと思っている」と俊足を生かした究極の守備シフトさえ描くほどです。打撃センスも捨て難く、高校2年の夏の甲子園では横浜高校・松坂大輔(現西武)投手から4安打をマーク。松坂選手が借りは「必ず(プロ)で返す」と一目おく。2月1日のキャンプインは1軍スタートが濃厚。背番号は「体が小さいから2ケタは似合わない」との願いかなって「9」に決定。1年目から勝負、盗塁王を狙ってみたいとセ・リーグ初の新人盗塁王に夢を膨らませた。
精かんな顔つきが「プロ向き」と感じました。横浜ベイで外野の一角に食い込めるか、来シーズンの楽しみが増えました。 1999/12/13
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