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スポーツコラム 【42話.シドニー五輪の金メダルが見えた!大本命 高橋尚子】

シドニー五輪の最終代表選考会を兼ねて3月12日に開かれた名古屋国際女子マラソンで、高橋尚子選手(27=積水化学)が自身が持つ日本最高記録にあと32秒と迫る2時間22分19秒。シドニー五輪代表の座を確実にする快走でした。
序盤こそ自重したが、23キロすぎからスパートし後半もハイペースを守り歓喜のゴール。文句なしの走りで、13日、日本陸連の理事会、評議員会で女子マラソンのシドニー五輪代表に正式決定。女子では高橋選手と山口衛里(27=天満屋)選手が選ばれ、市橋有里(22=住友VISA)選手とともに「最強トリオ」が誕生。日本女子マラソン界悲願の金メダルを視界に入れました。

ゴール後のインタビュー台の上。さわやかな表情の高橋選手と、満面笑みの小出義雄監督(60)。優勝者は、そのあかしである月桂冠を外し、白髪まじりの監督にかぶせてみせる。「風も気持ちよかった。水も気持ちよかった。そして応援も……」と42.195キロの距離を涼しげに振り返る。小出監督は「幸せだね僕は。こういう選手と巡り合えるんだから」と教え子の底力をたたえた。
高橋選手は1995年、大阪学院大から小出監督が当時監督を務めていたリクルートに入った。監督の指導力を慕い、同社の北海道合宿に押し掛けていって自らを売り込んだ末の入社だったそうです。それ以来の師弟関係。97年には監督の積水化学移籍について、自らも移籍した。3000メートルまでの種目が適性と思いこんでいた入社当時から「お前さんは、ロード向きだよ。マラソンで世界一になれるよ」と声をかけたのは同監督。体の前で回転させる独特な腕の振り、ずっと注意されていた。それを「いいよ、それが合ってるんだ」と初めて言ってくれたのも同監督だった。ほめて育てるが小出流ですね。

2年前の名古屋で当時の日本最高の2時間25分47秒をマーク。同年バンコク・アジア大会では2時間21分47秒という驚異的記録を出した。実績は自信を生む。だが、決して楽ではない最終選考会への道のり。昨年8月のセビリア世界選手権を左足の故障で欠場したショックは尾を引いた。帰国後、手首の骨折もし、上半身の筋力が落ちた。直前の鹿児島・徳之島合宿では食あたりで緊急入院もした。アクシデント続き。そこでも小出流の大胆な調整法が効いた。2月20日過ぎ、それまで持っていた練習スケジュールを「捨てた」。そして徹底的に休ませたそうです。「顔色をみて決めたんだ。調整法なんていい加減だよ。これが正解なんてもんは、ないんだから」。これを聞いて私の「スポーツ語録&名言集」でも紹介した、以下の言葉を思い出しました。

  いい練習を見つけるため、いま世間でやっている練習とは違ったものを
    模索する。もしかしたら「非常識だ」といわれるかもしれません・・・
         非常識な練習が正しければ、結果は出ます。
        結果が出れば、それが常識となっていくのです。


体調は8割程度まで戻った。それでも、失敗すれば五輪はない。普段、陽気な監督が「追いつめられていた」と告白する。有森裕子選手をバルセロナ、アトランタ両五輪で銀、銅メダルに導いた実績を持つが「五輪よりも緊張した」という。レース前夜から一睡も出来ず、朝を迎えた。「何としてでも高橋をオリンピックに出さないと」と悩みに悩んだ。だが結局、高橋選手自身を信じることしかなかった。「お前に任せた」とだけ指示した。信頼にこたえ、教え子は鮮やかにゴールテープを切りました。「疲れより、今年もう1本走れるんだといううれしさの方が強いです」とはにかむ姿に。まだまだ伸びる予感を感じさせます。

その潜在能力を100%出し切ったときに一番欲しい色のメダルが手に入るはずです。2000/3/20




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