予防にまさる治療なし。流行前の予防接種を心がけましょう。
普通の風邪の原因はライノウイルスやコロナウイルスの感染で、症状はのどの痛み、鼻水、くしゃみやせきが中心となり、発熱はインフルエンザほど高くない。一方、インフルエンザウイルスに感染すると、突然39度以上の発熱、悪寒があり、風邪の症状の他に、関節痛、筋肉痛など「ふしぶしの痛み」が加わります。
高齢者や呼吸器、心臓などに慢性疾患を持つ人は、気管支炎や肺炎などの合併症で重症になりやすいとのことです。
厚生省は、予防は流行前に予防接種を受けることが基本で、特に高齢者に有効としている。国立療養所三重病院では、全国の老人ホームなど6施設で約2000人の高齢者に」97年から予防接種を実施。
接種を受けなかった高齢者がインフルエンザにかかった率を1として比較すると、接種を受けた場合は0.45で、半分以下に減っていたそうです。
さらに重症化した率を同様に比較すると0.18となり、予防接種を受けていればインフルエンザにかかっても重症化する危険が5分の1に減ることが分かっています。
従来、インフルェンザに感染してしまったときの治療は、熟や頭痛などの症状を抑えるためのものでした。しかし最近はインフルエンザウイルスに直接に働きかけて、ウイルスの増殖を阻害する「抗ウイルス薬」を用いた治療が登揚しています。
現在、インフルエンザ治療薬としては2種類が承認されていてウイルスの型ごとに使用されているそうです。インフルエンザウイルスは感染しでから約24時間で症状が表れ、ウイルスもどんどん増殖するので治療薬の服用は早いほど望ましく、薬の効果は遅くとも2、3日のうちに表れるそうです。
予防策としては以下に示すように、ワクチン接種がありますが、抗体ができるまで2週間かかるので11月下句ごろまでに接種したほうがいいでしょう。
厚生省でも「インフルエンザ。かかる前に予防。こじらす前に治療。」ということを呼びかけています。 2000/11/25
接種は2回が原則で、1−4週間後にまた2回目を受ける。費用は自己負担で1回、数千円とのことです。
厚生省は予防接種以外の対策として
1、十分な栄養と休養
2、人込みを避ける
3、室内の乾燥を防ぐ
4、マスクの着用
5、手洗いとうがい
を勧めています。
どれも簡単に実践できますので予防の一貫としてぜひ取り入れましょう。かかった場合は安静にして睡眠を十分に。乾燥はウイルスが増えるのに最適な条件なので、加湿器などで適度な湿度を保ち、お茶、ジュース、スープ、みそ汁など何でもいいから水分を補給することが重要です。
子供の場合は、インフルエンザによる脳炎・脳症が特に危険。昨シーズン、インフルエンザによるとみられる脳炎・脳症は217例発生し58人が死亡、うち6歳以下の死者が51人と圧倒的に多かったそうです。
ウイルスが脳炎・脳症を起こす機構や、なぜ乳幼児に多いかはまだ解明されておらず、治療も決め手がないのが現状。子どもが風邪の症状に加えジュース、ミルクなど水分をとってもすぐ吐いたり、けいれんを起こしたときは、すぐに医療機関を受診させる必要があります。
インフルエンザ
流行性感冒(流感)とも訳されるウイルスによる急性感染症。
原因となるインフルエンザウイルスは、1933年以降、各種の型が発見されていて質が変化しやすい順にA、B、C型に分けられている。A型は、ウイルスの核を取り巻く糖タンパクの種類の違いからからにA香港型(正式にはA−H3N2)、Aソ連型(A−H1N1)などに分類される。 |
最近、復活への感触がでてきたマラソン女王・高橋尚子(27=積水化学)選手も今年(1999年)3月7日にンフルエンザで発熱し5日間寝込んだそうです。多忙に疲労が重なったためでしょうか、おまけにじん帯損傷と苦難続きの99年でした。
五輪キップをかける来年3月の名古屋国際では、ぜひ頑張って頂きたいですね。
予防ワクチン増産
厚生省では昨冬(1998年)、インフルエンザによる死亡例が多かったことから予防ワクチンの生産量を前期比2.3倍の350万人分に増やしている。1999年12月14日のTVニュースでは既に不足しているとの情報が流れていたようです。
例年より予防接種希望者が増えているとの解説をしていました。
A型インフルエンザウイルスを人工生成
遺伝子構成が複雑なインフルエンザウイルスを米国ウィスコンシン大学の研究グループが今年、人工生成に成功している。
この人工生成ウイルスを研究することで新しいワクチンの開発が進むと期待されている。
お茶予防
うがいはのどに付着するウイルスを外に流し出す効果があることからインフルエンザ予防の1つになっているが、緑茶や紅茶でのうがいを勧める専門家が多いそうで、お茶によるうがいを実施している小学校も増えている。お茶の成分であるカテキン(渋みの成分)は普通の水道水の10倍以上の殺菌力がある。
免疫力
インフルエンザにかかるかからないかは、ウイルスへの免疫力(抗体価)が目安になるそうです。国立感染症研究所では年齢層ごとの抗体価を分析して流行予測調査をしている。昨冬は30歳以上のインフルエンザ患者が例年以上に多かったが、抗体価分析でも流行したA香港型の抗体をもっている割合は30歳以上では20%を下回ったそうです。
インフルエンザチェックポイント
1.38度以上の高熱が出る
2.頭痛、悪寒、だるさが続く
3.関節や筋肉が痛む
4.熱は下がったが鼻水、せきが止まらない
5.人込みに出る機会が多い
6.このところ食欲がない
7.睡眠不足気味だ
8.年末になってイライラすることが多い
9.1日10本以上タバコを吸う
10.冬になると乾燥肌になる
1〜4は典型的症状。
5〜10はかかりやすい条件。
かかってしまったら肺炎などの合併症を起こさないためにも安静が第一です。
厚生省と国立感染症研究所感染情報センターは、予防や流行しているウイルス型などをインターネットのホームページで紹介すると共に、同センターに11月から電話での相談窓口を開設したようです。
厚生省ホームページ http://www.mhw.go.jp
国立感染症研究所の感染症情報センターホームページ
http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
インフルエンザホームページ http://influenza-mhw.sfc.wide.ad.jp/
<同センターのインフルエンザ相談ホットライン>
インフルエンザ予防接種の意義、有効性、副反応等やインフルエンザの一般的予防方法、流行状況等に関する国民の疑問に的確に答えていくとともに、医療関係者からの専門的な質問にも応じられるよう、国立感染症研究所感染症情報センター内にインフルエンザ相談ホットラインを開設する。
・開設時期 :平成12年11月6日〜平成13年3月16日
・対応日時 :月曜日〜金曜日(祝日除く)
9:00〜17:00
・電話番号 :03-5285-1231
・FAX番号 :03-5285-1233
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